コニカミノルタとNECは2022年1月17日、両社で推進する「未来ファクトリー」構想を具現化する取り組みの1つとして、ローカル5Gを用いたAGV(無人搬送車)の高効率自動制御システムを共同開発し、技術的検証のめどが付いたと発表した。今後は両社の工場などでの実用検証を通じ、商品化を検討する。
未来ファクトリー構想を推進
コニカミノルタとNECでは2020年11月から「ローカル5G」を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するパートナーとして協業を推進。コニカミノルタが持つ画像IoT(モノのインターネット)およびAI(人工知能)技術、エッジデバイス開発技術と、NECが持つ5Gを含めたネットワーク技術、業種におけるDXの知見を組み合わせ、共創を通じたさまざまな取り組みを進めている。
その中の1つがコニカミノルタが推進する「未来ファクトリー」構想の実現に向けた各種の取り組みだ。「未来ファクトリー」構想は、コニカミノルタが考える2030年の生産の姿で、工程で共通の産業用ロボットを使った多品種生産を行い、工程間のモノの移動が自動化されている工場を構想している。具体的には「人と機械が共存する安全・安心ファクトリー」と「多品種・小ロット生産を実現する自律型デジタルジョブショップ」の2つの実現を目指している。その1つの要素として開発を進めるのが、AGVを活用した自律的な搬送だ。
コニカミノルタとNECの共同開発では、搭載したカメラ映像のAI処理による「AGVの高効率制御」とローカル5Gを活用した「大容量・低遅延の無線通信」、複数台のロボットと生産機器とを連携させ効率的制御を行える「AGV/ロボットなどの生産機器制御」の3つの技術が核となっている。
この内、AGVの高効率制御については、コニカミノルタが推進するAI処理技術群「FORXAI Imaging AI」の物体検出アルゴリズムを活用し、複数種の物体を100fpsのスピードでリアルタイムで認識することを可能としている。大容量・低遅延の無線通信についてはNECによるローカル5G技術を活用している。そして、生産機器制御については、NECが展開する多種多様なロボットを一元管理できる「NEC マルチロボットコントローラ」と、コニカミノルタのIoTデータ管理プラットフォーム「FORXAI IoT Platform」を活用している。
ローカル5GによるAGV運用の技術を確立
両社ではこれらの実証を、2020年11月に大阪府高槻市に開設した研究開発施設「Innovation Garden OSAKA Center」で実施。同センターにローカル5G環境を用意し、先述した3つの技術を用い、AGVが問題なく運行ができるかどうかの技術検証を行った。コニカミノルタ IoTサービスPF開発統括部統括部長 兼 画像IoTソリューション事業部副事業部長の岸恵一氏は「Innovation Garden OSAKA Center開設時から実証を開始したが、同センターは実証専門の施設ではなく通常はオフィスとして使用している環境である。その中で実証を行うには課題や苦労があった。その中で安定して使用できる技術的な検証ができた」と述べた。
今回は両社による技術の確立を発表したものだが、今後はそれぞれの抱える工場での実証なども進めながら、実用化に向けた開発を進めていく計画だ。「技術的には確立できたために、早いスピード感でソリューションに持っていけると考えている。実証では『こういうことができる』と示したもので、これらを組み合わせたり、部分的に切り出し、ソリューションの形にしていく」と岸氏は今後の動きを説明する。
また、ローカル5Gの産業利用では「コスト」が大きな課題となっているが、NEC 新事業推進本部の新井智也氏は「コストが課題となっているのは事実だが、マネージドサービスを用意するなどコスト低減に向けたさまざまな工夫を模索しているところだ。将来的には普及スピードにはよるが、コストは大きく下がっていくと見ている。できる限り導入しやすい価格に持っていきたい」と語っている。
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2201/18/news071.html
ローカル5GによるAGV運用にめど、コニカミノルタとNECが「未来工場」実現へ:MONOist[コジーの今週気になるDXニュースVOL20220118-01]
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