ベンチャーキャピタルはネットワークビジネスである。ファウンダーのネットワークから投資家やエンジェルの人脈、潜在顧客や人材、サービスプロバイダバイダーの糸のように細い繋がりまで。これらのネットワークの密度が成功を決める。任務に合った人物や、資本政策に沿った出資者を見つけることができれば、スタートアップは一歩リードできるかもしれない。それはCasey Caruso(ケーシー・カルーソ)氏が深く考えてきたテーマだ。スタンフォード大学在学中の研究プロジェクトで、彼女は少々変わったかたちのネットワーク密度に目をつけた。畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルを用いた投資判断の評価だ。3人の共著者は、アルゴリズムを使ってVCを最適化する方法を分析した。これは彼女にとって馴染みのあるクロスオーバーポイントであり、Googleでエンジニアとして働きながらBessemer Venture Partnersでパートタイムで投資していたときに培った技術的経歴に基づいている。サンフランシスコのローワー・パシフィック・ハイツにある北イタリア料理レストラン「SPQR」のディナーで、彼女は友人で現在ブロックチェーンに特化したPantera Capitalのプリンシパルを務めるLauren Stephanian(ローレン・ステファニアン)氏、Google VenturesのパートナーであるTerri Burns(テリー・バーンズ)氏と投資について語っていた。そこで3人は、すべての道がローマに通じるのと同じように、3人全員が同じ方向に進んでいることに気がついた。テクノロジーを使ってベンチャーキャピタルの意思決定を改善する。「私たちは全員が訓練を受けたコンピューター科学者です」とカルーソ氏は言った。「その基礎訓練のおかげで、3人とも実利的に問題に取り組みます」。彼女らは昼間の仕事と別に共同作業を開始した。どうすればAIを最初期ステージのベンチャーに適用して、モデルから特徴を識別すると同時に、ビジネスの定性的特長にも対応できるだろうか。そして、2019年に、投資に関する正式な共同体を作ることを決め、投資の基盤としてTLC Collective(3人のイニシャルを組み合わせた)を立ち上げた。自ら出しあった資金を使って、TLCはテック企業のファウンダーにエンジェルおよびプレシード資金を投資している。これまでに11社への投資を終えており、データディスカバリープラットフォームのSelect Star(数週間前に私が紹介した)、オーディオ会議アプリのClubhouse、生物データプラットフォームのWatershed、リモートワークマネージャーのFriday、暗号資産(仮想通貨)リスク・ンプライアンスプラットフォームのTRM、ユーザーインフラプラットフォームのSlytchほか、さまざまな会社がある。TLCの投資先はさまざまな分野に渡っが、すべてを繋いでいるのがファウンダーの技術志向だ。「私たちは技術志向の強いチームに投資します、なぜなら私たちが非常にテクニカルで、それが第1の断基準だからです」とカルーソ氏は言った。一方、ステファニアン氏は、技術力は重要な指標ではあるが、焦点となる分野は3人で異なっているという。「同じような経歴ですが、興味の対象と持っているスキルは異なります」と彼女は言った。バーンズ氏は消費者に、ステファニアン氏はフィンテックと大企業と暗号資産に、カルーソ氏は先端技術に、それぞれ焦点を当てていると3人は言った。これまでのところ、グループは3人にとってまだ「サイドギグ」(副業)であり、基礎となるアルゴリズムの改善を繰り返しているところだ。「アルゴリズムを実際に使う場合と、フレームワークやリファレンスとして使うだけの場合を行ったり来たりしています」とカルーソ氏は説明する。「プログラミングの経験を使ってアートとサイエンスのバランスを見つけようとしています」。投資のペースはほぼ四半期に1回で、当面これが続くだろうとチームは言っていた。今後も自己資金による投資を続けるつもりで、ローリングファンドやクラウドファンディングなどの新しいモデルへの拡張が必要だとは感じていない、少なくとも今のところは。「ローリングファンドのことは考えたこともありません」とCaruso氏は言ったが、グループはOn Deck Angelsの一員であることを認めた。ステファニアン氏は、今あの分野の熱気はすごいという。「自分でシンジケートを立ち上げている人たちから実に多くのメッセージが送られてきます」と彼女は語った。グループの投資金額は、1回当たり数万ドル(数百万円)から数十万ドル(数千万円)の範囲だ。彼らのAIモデルを支えているネットワークや、投資先ファウンダーを集めて作っているネットワークと同じく、TLC Collectiveは投資家の中に三角形の繋がりを作っている。繋がりが広がるにつれ、モデルを最適化するためのデータを拡張することが可能になり、新しいビジネスを成長させる最高のテックファウンダーに投資することが彼らの願いだ。

©2024 CYBER.NE.JPfrom STAD

CONTACT US

We're not around right now. But you can send us an email and we'll get back to you, asap.

Sending

Log in with your credentials

or    

Forgot your details?

Create Account