この国を動かしているのは、誰もが知る有名老舗企業だけではない。まだ誕生して間もない、名前も聞いたことのないような新興企業が驚くべき製品・サービスを提供し、より良い社会に貢献していることもある。そんな知られざるスタートアップ企業の投資動向に迫る、フォースタートアップスによるレポートがこのほど公開された。本レポートは、2020年の国内スタートアップ投資の概況と動向を、2019年との比較を交えて解説したものだ。前年対比で見る、資金調達額・資金調達企業数の推移フォースタートアップスのサービスである「STARTUP DB (スタートアップデータベース)」が集計したデータより、2020年と2019年のスタートアップ全体の資金調達動向を紐解いていく。まずは月別資金調達額の比較。合計金調達額は、上半期の時点では2019年の3,405億円に対して2020年が3639億円と、2020年の方が234億円上回っていた。年間では2019年の7,010億円に対して2020年は6,800億円と、210億円の減少で着地している。2020年8月以降では、全ての月で2019年の調達額を下回っている。また、新型コロナウイルスの影響が顕著化した3月以降の調達額を比べてみると、2020年は2019年と比べて979億円少ない5,207億円となっている。調達額が他の月と比較して大きい2020年1月には、InagoraホールディングスやH.I.F.が50億円を超える大型の資金調達を実施している。資金調達実施企業数は、2019年が2,009社であるのに対して2020年は1,686社となっており、約16.1%減少している。一方、合計資金調達額が約6%減であったことから、1社あたりの調達額の平均は増加していることがわかった1社あたりの調達額は、2019年通年の平均が3.4億円に対して、2020年通年の平均は3.9億円となっており、2020年の方が0.5億円高い。なお、資金調達を1件ごとにみた際、調達額の中央値は、2019年が1億円、2020年が1.2億円となっている。この数値からも、2020年の方が2019年と比べ、1件あたりの調達額が上昇傾向にあるといえる。
