2021年10月27日(水)~29日(金)に、幕張メッセで第2回AI・人工知能 EXPO【秋】が開催されました。
AI・人工知能 EXPO【秋】では、ディープラーニング、機械学習、エッジAI、自然言語処理、画像/音声認識、対話AIなど、多岐に渡るAIに関するサービスが出展され、来場者数は3日間で16,428名にのぼりました。
今回の記事では10月28日に会場で行われた産業技術総合研究所・杉村 領一氏によるセミナー『いよいよ発行が進むAI 標準 ~AI 関係者が知っておくべきポイント~』をレポートします。
※講演内容は一部割愛、言い回しの変更をしております。
目次 .AI標準が発行へ |AI開発においてAI標準化がもつ意味とは.AI技術開発と標準化の議論が並行して進んでいる異常な事態.世界中どこでも共通して使えるAI|ビジネスにAIの標準化の活用.倫理的な観点を踏まえた議論も必要に.AI・人工知能 EXPO【秋】|会場の様子.おわりに
.AI標準が発行へ |AI開発においてAI標準化がもつ意味とはAI技術開発と標準化の議論が並行して進んでいる異常な事態さまざまな産業におけるAIの活用の進展に伴い、世界中でAI標準化の動きが活発化しています。信頼性の高いAIを推進するためにフレームワークが整備されることはビジネス的な観点でも社会生活の利便性向上という観点でも重要になってきます。標準化の議論は分野別に世界各国の団体が連携しながら行われており、日本にも大きな役割が期待されています。今回登壇した杉村氏は、国際標準化団体の「SC42」という委員会でAIの標準化に向けて取り組み、世界の議論を牽引している人物の1人です。杉村氏は講演冒頭、「『AI標準』の現状をビジネスパーソンであるみなさんにも知っていただきたい。」と聴講者へ向けて語り、AIの標準化における議論の特徴や現在地、今後の展望について話しました。
杉村氏:AIの国際標準化の議論は3年前からスタートし、そろそろ最初のドキュメントの発行にたどり着こうとしています。「標準が決まる」ことは、国際的にルールが決まったら国内で勝手に異なる標準を決められないことを指します。つまり、日本にとって都合が悪いルールに決まっても後からは変えられないため、国際標準を決めようとしている今、日本も積極的に関わっていかないといけません。一般に、標準化に至るまでの過程は、技術が十分に発展してから(議論が)進められることが多かったのですが、AIに関しては技術開発と並行して標準化が進むという異常な事態になっています。なぜなら、技術としてまだ考えられていないにも関わらずいきなり標準を定めようとするからです。なのでAI標準化の制定に関わる人たちは暗中模索しながら取り組んでいます。この標準化の取り組みは、2017年10月にJTC1(Joint Technical Committee 1)という国際標準化団体で決議をされて2018年の4月から本格始動し、年に2回、国際会議をしています。これまでの会議は全てバーチャル空間で行われています。現在作っている標準の数は非常に膨大にありますが、日本が直接的に議論に関与できる標準分野は半分ほどあります。 これは SC42に参加してくださってる企業や大学、各研究機関の方々のおかげです。少なくともスタートしてからは日本は議論においていいポジションで参加できていると思います。日本がAIの標準化における交渉や陣取りをうまくやらなくては、高性能なAI技術を開発した場合でも、認めてもらえないかもしれません。ご興味がある方は以下~本文参照
AIに関する国際標準が策定へ|研究開発やビジネスはどう変わる -第2回AI・人工知能EXPO【秋】