「デジタル化に取り組む」のではなく、デジタルで行政改革と規制改革を一体で遂行する――。小林史明デジタル副大臣兼内閣府副大臣は2021年10月12日に日経BPが開催した「デジタル立国ニッポン戦略会議」に登壇し、こう力を込めた講演の冒頭で、小林氏は「テクノロジーが進展する素晴らしさは、あらゆることが民主化されて手元に行き渡り、社会がフェアになることだ。携帯電話はその良い例だと思う」と語った。小林氏は学生時代、NTTドコモが開発した携帯電話で支払いができるサービス「おサイフケータイ」を利用して感銘を受けたという。「サービスの利用者にマクドナルドのポテトのクーポンが届く。クーポンをもらうとついお店に行きたくなってしまう。テクノロジーが行動変容を起こせると気付くきっかけになった」(小林氏)。この経験から「テクノロジーは社会を変える可能性がある」と考えるようになり、小林氏はドコモに入社する。ドコモでは店舗業務や法人向けソリューション営業の仕事を通じてテクノロジーの効果を強く感じたという。その一方で「進化や成長を阻む規制が多いことに憤りを感じた」(小林氏)。人が作ったルールに従って生きるのではなく、ルールを変える側に回りたいと、政治家への転身を決めたという。時代に合わせてルールを変えるべき小林氏は「日本のルールは明治維新から戦後にかけてつくられたものがベースになっている」と指摘し、「ルールが悪いのではなく、時代に合わせて変えてこなかったことが悪い」と続けた。必要に応じて「変えていく必要がある」とした。新型コロナウイルスの感染拡大によって、これまでの慣習もデジタル化の妨げになっている事実が浮き彫りになった。「対面、押印、署名のような慣習のせいで有事に対応できないことが分かった。行政のデジタル化の遅れが、国民全体の問題として認識された」(小林氏)。10月に発足した岸田内閣は「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、地方からデジタルの実装を進めて地方と都市の差を縮めるとしている。小林氏は「デジタルインフラを徹底的に整え、地方への移住や二拠点居住を推進し、どこに住んでいても都市の利便性を感じられるようにする」と語った。構想を実現する上でもデジタル庁は鍵になる。デジタル庁の役割について小林氏は「主に自治体や省庁のDX(デジタル変革)を支える。企業活動に例えれば、コンシューマーにサービスを提供するBtoCではなく、組織のDXを支えるBtoBのイメージだ」と説明した。デジ庁と規制改革でDXを加速デジタル庁への注目が高く、デジタル副大臣としての役割に関心が集まっているが、行政改革、規制改革を一体で担当できることに大きな意義があると考えている。デジタル化と行政改革、規制改革を同時に遂行できる立場であり、それができれば「加速度的に前に進める」(小林氏)からだ。今後、行政組織のデジタル改革を進めるポイントとして、小林氏は「有事に耐えうるようにすること」「必要な人にプッシュで行政サービスを提供すること」「官民が一緒になって取り組むこと」の3点を挙げた。プッシュで行政サービスを提供することについて小林氏は「現状の行政は申請主義だ。そのため情報への感度が高い人や、人材が豊富な企業しか補助金、助成金を活用できていない。これからはこちらから分かりやすくお勧めする形に変えていく」と語った。「今あるおかしなものは必ず変えられる。実際に政治家として取り組んでみて、思った以上に早く変えられることが分かった」と述べ、「皆さんにもおかしなものは変えられると思っていただきたいし、その声を私たちに届けてほしい。デジタルを上手に使って、社会を変革し、もっと自由に皆が活躍できる社会を皆さんとつくっていきたい」と続けた。https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/434148/102000103/

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