VCがスタートアップを評価する基本ポイント | ベンチャーキャピタリストの視点 vol.2
2022.10.28読了時間:約 8 分
ベンチャーキャピタリストだというとよく聞かれるのが、「スタートアップの『目利き』をどうやってしているのか?」「プレゼンテーションやエレベーターピッチでどのような点を重要視するか?」ということだ。正直に言うと、20分程度のプレゼンテーションでビジネスの良し悪しを判断することは現代の複雑なビジネス環境においては不可能に近いし、エレベーターピッチのような数分の話で評価はできない。プレゼンテーションを聞いてビビっときたというのは話としては面白いが、通常のビジネスで初対面の社長と20分間話をして融資を決めてくれと言われたら詐欺と思うべきではないだろうか。
スタートアップへの投資となると、通常ではありえない、不可思議な形で投資先を評価していると思われているのが不思議でならない。もちろん自分の会社を売り込む時のプレゼンテーション能力、セールスマンとしての優秀さは組織に必要とされる重要な能力の一つであるが、売り込みがうまいことと投資の判断は別の話である。スタートアップ投資といえど、中身をしっかり見ていかなければ当然成果は出ない。
INDEX
・投資判断を「目利き」とし「アート」化してきた
・スタートアップの評価項目は「実行能力」と「競争力」
・実行能力は過去の実績から評価する
・「競争力」は類似モデルとの比較で評価する
・タイミングによってユニットエコノミクスや事業収支が短期的に悪化することも
SECTION1/5
投資判断を「目利き」とし「アート」化してきた
日本において、イノベーション教育というとプレゼンテーションスキルやアイデアジェネレーションなどが過度に強調されすぎていると思う。そうなってしまう原因は、これまでのVCの言い分にある。スタートアップの評価体制や経験がないVCからすれば、投資判断は「目利き」というような「アート」で決まると言った方が、ファンドに必要とされる経験やシステムを評価されず都合が良かったのではないかと思う。
VCと付き合う起業家やVCに投資をする投資家、社内でCVC事業をやるかどうかを判断する方は、次の2つを理解することが肝要だと思われる。
①VCの評価プロセスが再現性があるシステムになっているか
②評価プロセスを実行する経験と能力をVCファンドが有しているか
もちろん、投資決定の最後の部分では感覚的要素も大事な考慮点であると思う。しかし、最低限ポイントは論理的に評価しなければ投資の実績は到底期待できない。一般的とされている評価モデルの前提とポイントについて次項で説明をしていく。
SECTION2/5
スタートアップの評価項目は「実行能力」と「競争力」
続きは以下~
https://xtech.mec.co.jp/articles/7925