2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。日本政府が2020年10月に宣言した「2050年 カーボンニュートラル」は実現するだろうか。世界の先進各国が温室効果ガスの削減に取り組み、お互いに注目し合う中、「2050年 カーボンニュートラル」が言葉倒れに終わってしまったら、日本の国際的な信用を損なうことにもなりかねない。しかも、この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものなので、ハードルは高い。のんびりと構えていては、到底実現できるようなものではないのだ。実現するためには、企業等の従来のビジネスモデルやエネルギー戦略などを抜本的に改革・転換する必要があるだろう。
 そこで経済産業省は新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO」に総額2兆円というこれまでに例のない巨額の予算を投じ、「グリーンイノベーション基金事業」を創設した。官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などの研究開発を実証から社会実装まで10年間継続して支援する。
 2021年8月には、第1号案件として、「国際水素サプライチェーンの構築に向けた輸送・貯蔵・発電等の技術開発を行う水素関連プロジェクト」に着手し、それに続いて「水素やアンモニア、LNGなどを燃料とする次世代船舶の開発」や「水素航空機のコア技術・航空機主要構造部品の複雑形状・飛躍的軽量化を目指す次世代航空機の開発」などの個別プロジェクトが進められており、それらに公募した企業が順次採択を受けている。
 直近では、2022年2月には「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトの研究開発項目の一つである「次世代パワー半導体デバイス製造技術開発」に対して、電子部品企業のロームが「8インチ次世代SiC MOSFETの開発」を提案し、採択された。本事業では次世代パワー半導体の製造技術を高めることで、電動車や産業機器をはじめとする幅広い機器・設備への普及促進を目指すという。
 自動車や産業機器、電力、鉄道、家電など、パワー半導体はあらゆる電気機器に搭載され、その根幹を担う部品の一つであるため、カーボンニュートラルの実現に当たっては省電力化が極めて重要な課題となっている。ロームは、従来のSiパワー半導体に比べて電力損失が極めて小さく、採用機器の小型化・軽量化も可能なことで注目が高まっているSiCパワー半導体の研究開発・事業化において先行しており、今後、デジタルインフラの省エネ化・高性能化にも大きく貢献することが期待されているのだ。
 また、同じく「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトでは、富士通株式会社をはじめ、日本電気株式会社、アイオーコア株式会社、キオクシア株式会社、富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社、京セラ株式会社が共同で進める「次世代グリーンデータセンター技術開発」も採択されている。同プロジェクトでは、DXの推進を背景にデータセンターにおける省エネ化、大容量化、低遅延化を実現するため、省電力CPUの開発や光スマートNIC開発、省電力アクセラレータ開発 などの各種技術を各社が開発するもので、2030年までに、研究開発開始時点で普及しているデータセンターと比較して40%以上の省エネ化の実現を目指す。
 「グリーンイノベーション基金事業」で取り組まれている各プロジェクトが成果を上げれば、それは日本だけにとどまらず、世界全体のカーボンニュートラルの実現にも大きく貢献することができるだろう。また、日本の経済にも大きな恩恵をもたらしてくれることは間違いないだろう。これからの進捗に期待したい。(編集担当:藤原伊織)
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