金沢大など開発 SATO(サト)
能登の里山里海を守るため、能登半島を中心に流通させる暗号技術を用いた電子通貨「SATO(サト)」の運用に向けた取り組みが始まった。人々の里山里海を保全するさまざまな貢献などに対してサトを付与することで環境の価値を「見える化」するのが狙い。2024年ごろに能登地域での買い物や飲食などに使えるようにし、世界農業遺産にも認定された能登の豊かな自然や文化が持続するコミュニティーづくりを目指す。【阿部弘賢】毎日新聞
金沢大と七尾商工会議所は、世界農業遺産に認定されている「能登の里山里海」を守るために、七尾市内で暗号貨幣を使った地域通貨「SATO(サト)」の導入、普及に取り組む。環境保全や人口減少対策、祭りの再生など地域への貢献活動を貨幣価値に換算し、地元の商店などで利用できるようにする。二十日、市内で実証実験を行い、技術的な課題や機能性を評価した。
サトは、暗号技術を用いた電子通貨。スマートフォンのアプリ上などで使用できる。1サト=一円として、里山里海の貢献活動に参加すると、事務局がサトを付与し、地元の買い物や飲食に利用できるようにする。
商工会議所と金大融合研究域融合科学系の松島大輔教授の研究室は二月、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に関するパートナーシップ協定を締結。実証実験は観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進事業」の一環で取り組んだ。
金大の学生約十五人や同市の観光振興法人「ななお・なかのとDMO」などが参加し、アプリの使い勝手を検証。三グループに分かれてサトで神社にさい銭を入れたり、同市生駒町の飲食店「いしり亭」で代金を支払ったりした。参加した金大一年の藤沼伸さんは「高齢の方がスムーズに使えるようにしていけたら」と話した。
松島教授は「これから地元企業などと協力して仕掛けを作る必要がある。年内にも提案したい」と話した。(大野沙羅)中日新聞