デジタル神話は終わる1990年代前半に米国から始まったIT・インターネット化の流れは、おおよそ四半世紀の間に世界を一変させたと言ってよい。
ポケットベルはそれ以前の先端アイテムで、特に日本とは大きな時差が存在する欧州市場や昼夜が逆転する米国市場が絡むトレーダーは、常時ポケットベル(参照「ポケットベルの歴史」)を持ち歩いていた。そして市場が急変したという連絡があると飲み屋から公衆電話(当時はビル内などに普通に公衆電話があった)で連絡を取ったり、トレーディングルームに駆け付けたりしていた。by Gettyimages
携帯電話などというものは存在しなかったし(子供のランドセルほどの大きさがある背負い型・肩かけ式や、自動車に据え付ける「自動車電話」は存在した)、為替を始めとする「相場情報」は、トレーディングルームに備え付けのモニター(ロイター、ブルームバーグなど)でしか見ることができなかったのだ。しかし、今やごく普通の投資家が、スマホを使って値動きを追いかけ、ネット取引を自宅、オフィス、飲み屋でごく普通に行う時代である。その他にも、IT・インターネットが社会を激変させた例は数限りない。だから、「デジタル神話」とも呼ぶべき一種の信仰が生まれるのも無理はない。かつて日本には「土地神話」というものが存在し、土地は買っておけば必ず値上がりすると多くの日本人が信じていた。1980年代のバブルにおいて土地価格が異常に高騰したのもこの影響が大きい。「将来必ず価格が上がるもの」を売りたいという人は少ないから、「無理やり売らせる地上げ屋」が暗躍した。だが1990年頃のバブル崩壊とともに「土地神話」が消滅し、地上げ屋の求めに応じて土地を売った人々が結局一番儲かったのである。同じように「デジタル神話」もそろそろ崩壊の時期が来ているように思える。特に最近の「中身の無いDX騒動」を見ているとそう感じる。巷で騒がれる「DX」とは、要するに「デジタル様の教えに従えば、すべてうまくいきますよ」と言っているように聞こえる。「土地神話」が崩壊しても、土地の利用価値・機能は変わらず我々にとって必要不可欠なものである。同じく「デジタル神話」が崩壊した場合も、IT・デジタルの利便性そのものには変わりが無い。だが、「土地神話」に乗せられて多くの人々がムダ金を支払わされたように「デジタル神話」に乗せられて、必要以上のコストやエネルギーを費やすべきではないと考える。仕事をデジタルに合わせる、逆ではないDXを始めとするデジタル化で起こしやすい過ちは、「現状の仕事に合わせてデジタル化」することである。一見至極当然のように思える。ピーター・ドラッカーが述べるように「店舗、工場、機械ではなく、人間だけが利益を生む」のであるから、人間がこれまでやってきた業務にデジタルを従わせるのは「当たり前だろ?」と言われると思わず納得してしまう。だが、この「説得力」が曲者なのだ。例えば、7月8日公開「じつは日本でいま『管理職』の仕事が消え始めている…! その残酷な現実」で述べた「テイラーの科学的管理法」が製造業(工場制手工業)に導入されたときのことを考えてみよう。それまでは親方制度(ギルド)で守られていた仕事のノウハウを始めとする利権が、「科学的管理法」でひっくり返され、誰もが学ぶことができるようになった。その結果、仕事が驚くほど効率的になったのである。当然、それまでの特権を奪われる親方たちは激しく抵抗した。同じことが「デジタル化」においても言える。ドラッカーは1950年頃からコンピュータが普及し始めた時に「管理職(マネジメント)」の仕事は無くなると考えていて、後に誤りを認めている。しかし、ドラッカーは間違ってはいなかったとも言える。そもそも「マネジメント」という概念はドラッカーが確立したと言え、当時はまだ「管理職」と「マネジメント(マネージャー)」がはっきりと区別されていなかったのだ。だから、「ハンコを押すだけ」の管理職が消えていくというのは、前述、「じつは日本でいま「管理職」の仕事が消え始めている…! その残酷な現実」の通り正しかったのである。続きは以下~https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88458

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