オープンソースソフトウェアはどの程度普及しているのだろうか?答えは、とても広く普及しているというものになる。では、扱いやすいものになってきているだろうか?その答えは残念ながら、それほど扱いやすいものにはなっていないというものだ。
これは、テクノロジーに携わる、開発者から企業幹部、エバンジェリストに至るまでのさまざまなプロフェッショナル872人を対象に最近実施された調査から判断した状況だ。そしてこの調査によると、オープンソースソフトウェアを採用している企業は10社のうち8社に達しているという。

 とは言うものの、誰でも低額あるいは無償で自由に利用できるライセンスのソフトウェアを使用しても、問題の一部しか解決されない。ソフトウェアをセキュアにすることや、そのメンテナンスと効率的な稼働に必要なスキルやサポートを確保するという課題が依然として残っている。

 また、回答者の40%強は、オープンソースの問題としてセキュリティやコンプライアンスを挙げている。

 さらに、オープンソースソフトウェアを使用しているチームの40%近くは、そうしたソフトウェアのテストや使用、統合に必要なスキルを社内で確保できていない。

 OpenLogic by PerforceとOpen Source Initiative(OSI)が共同で実施した今回の調査では、OSからデータベース、開発ツールに至るまでのさまざまなカテゴリーにおけるオープンソースソリューションすべてで、スキルとサポートが主な障壁となっていることが示されている。

 オープンソースソフトウェアが抱える主な課題には以下のものがある。

セキュリティポリシーとコンプライアンスの維持:42%
スキルや経験、練度の不足:38%
アップデートやパッチのタイムリーな適用:37%
低水準技術に対するサポートの不足:36%
サポート終了(EOL)以後のサポート:36%
 今日使われている中で最も「業務上重要なオープンソースソフトウェア」として多くの回答者が挙げているのは、「Linux」と「Apache HTTP」「Git」「Node.js」「WordPress」「Tomcat」「Jenkins」「PHP」「Nginx」だという。レポートの著者らは、「多くの組織にとってソフトウェアは全般的に、業務上重要なものとなってきている結果、オープンソースソフトウェアはデジタルインフラにおける鍵となるパーツとなっている」と述べた上で、「成熟度をより高めた組織はこういった鍵となるテクノロジーの専門性を獲得しており、オープンソースによって生み出されるイノベーションに参加するために、コミュニティーの一員となる重要性を認識している」と述べた。
今回の調査では、コンテナー技術とコンテナーオーケストレーション技術は、ソフトウェア開発ライフサイクルツールとともに最も投資され、最もよく用いられているオープンソーステクノロジーであることも示されている。

 この調査によると、オープンソースコミュニティーに貢献する組織も依然として少数ではあるものの、増えてきているようだ。約37%の組織は、オープンソースプロジェクトやオープンソース組織などに対する貢献(コードやその他のアクティビティー)でオープンソース活動を支援している。これは前年に比べて5ポイントの増加となっている。

 回答者が実行しているとしたアクティビティーの中で46%と最も多かったのは、オープンソースパッケージ中の脆弱性を洗い出すためのセキュリティスキャンだった。レポートの著者らは「特筆すべき点として、オープンセキュリティに対する意識のさらなる高まりとともに、組織におけるソフトウェア開発ライフサイクルの一環として、セキュリティスキャンを支援できるさまざまなツール(オープンソースのものや商用のもの)の増加を挙げることができる」と記し、「同様に、オープンソースのセキュリティポリシーやコンプライアンスがトップ3に挙げられている点も期待できる。というのも、内外のコンプライアンスプロセスの定義はオープンソースの成熟度を示す尺度となるためだ」と続けている。

 向こう18カ月で重要となるテクノロジー分野については、人工知能(AI)関連(ディープラーニング《DL》や機械学習《ML》を含む)が最も重視されており、前年の調査でトップだった「Kubernetes」に僅差で競り勝っている。また、近い将来に重要となるテクノロジーとして他に、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)などが挙げられている。

 この他にもレポートは、クラウドネイティブなオープンソーステクノロジーも注目されており、「あらゆる業種、規模の組織において大幅に採用されている」ことを示している。コンテナベースのデプロイは、クラウドネイティブな環境をサポートするためのオープンソースツールと機を同じくして台頭してきている。例を挙げると、Kubernetesの利用は前年から5ポイント増加し、23%となっている。Kubernetesは、現時点で3番目に多く利用されているクラウドネイティブテクノロジーということになる。ほぼすべてのクラウドネイティブテクノロジーは過去12カ月で成長を見ている。「OpenTelemetry」や「Jaeger」「Prometheus」といったオブザーバビリティー(観測可能性)に関するプロジェクトも特に速いペースで採用が進んでいる。
数多くのソフトウェア開発者にとって、プログラミング言語はオープンソースへの入り口となり続けている。前年の調査と同様に、JavaScriptとPythonがそれぞれ1位と2位を維持しているが、業界全体で見た場合には1〜2ポイントの上昇にとどまっている。またオープンソースのJavaランタイムで最も多く利用されているトップ3は前年と同じく、「OpenJDK」と「OpenJ9」「Oracle Java」だ。Oracle Javaの利用率は前年の調査から4ポイント低下した一方、OpenJDKとOpenJ9は横ばいとなっている。

 より動きが激しいのは、DevOps向けのオープンソース版の自動化およびコンフィギュレーションツールだ。2年前の調査では、この分野のテクノロジーを使用していないとする回答者が50%近くいたが、今回の調査では使用していないという回答は12%に減少している。オープンソース版の継続的統合(CI)および継続的デリバリー(CD)ツールについては、特にクラウドネイティブなCI/CDツールの採用が増加している。全体的に見た場合、コンテナー内でネイティブなかたちで動作するツール(「Jenkins X」や「Spinnaker」「Tekton」)の利用が今回著しい伸びを見せている。

 コンテナーテクノロジーおよびコンテナーオーケストレーションテクノロジーの採用は伸び続けており、前年の18%から増えて33%となっている。企業の3分の1強となる34%がオープンソースのソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)ツールを使用しており、22%はオープンソースのコンテンツ管理ソリューションを用いている。

Joe McKendrick (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 2023-02-10 06:30
https://japan.zdnet.com/article/35199807/

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