目次
・ピボットとは何か
・”粘り強さ(Grit)”はまず何よりも大事
・いつピボットするか
  バイアスにより遅れる判断
  プロダクト開発前/シードラウンド前のピボット
  プロダクト開発後、PMF前のピボット
  シリーズB以降のピボット
・どうピボットを判断するか
  判断基準(Kill Criteria)を事前に決める
  撤退コーチ(Quitting coach)を持つ
・どうやってピボットするか
  事業仮説の何を生かすか
  マクロトレンドによる事業仮説の変化
ピボットで起きる行動
・高成長スタートアップ/大企業のピボット
・今後変わるピボットの判断

ピボットとは何か
ピボットという言葉を生んだリーンスタートアップのエリック・リースの言葉を借りると、ピボットとは、「プロダクト、戦略、成長に関する新しい根本的な仮説を試すための”計画された軌道修正”」です。

That change is called a pivot: structured course correction designed to test a new fundamental hypothesis about the product, strategy, and engine of growth.

Ries, Eric. The Lean Startup (p. 163). Crown. Kindle Edition.

ピボットと聞くと、「ある事業が全く上手くいかないので、それから撤退して全くまっさらになってやり直すこと」と考える方も多いかもしれませんが、もっと頻繁に起きる「軌道修正、戦略転換」なのです。

ピボットには大小あり、大きなピボット(前述した、一から全てやり直すこと)もあれば、カスタマーセグメントを変えたりチャネルを変えたりなど小さなピボットもあります。小さいピボットも含めたら恐らく全てのスタートアップが遅かれ早かれ何度も経験し、大成功している会社でも何度もピボットしてきているはずです。

比較的大きなピボットとして有名な例は、ゲーム会社(Glitch)からピボットしたSlack、ポッドキャスト会社(Odeo)からピボットしたTwitter、オンラインマッチングサイトからピボットしたYouTubeなどが有名です。日本でも事業仮説が大きく変わるピボットは珍しくなく、10XはB2C向けの献立アプリから、B2B向けのオンラインスーパー/ドラッグストア立ち上げシステムに、見事にピボットに成功しています。

また、小さいピボット(セグメントやチャネルの変更)であれば、スタートアップにとっては、ほぼ表に出てこないくらい当たり前の経営の日々の意思決定だと言えます。CADDiなどもターゲットのセグメントを超初期から調整しつづけ、正しいセグメントを見つけるたびに事業は成長していきました。

かつピボットは一度とは限りません。成長する過程で、事業環境/技術環境が変化したことで、iPhoneをローンチしたAppleも、モバイルに特化していったFacebookも、それぞれ大企業になった後にピボットしているとも言えます。

これら大小様々なピボットも含めて考えると、ピボットとは撤退、ではなく、戦略転換。事業環境の変化や、ユーザーからのフィードバックを適切に集めながら、適切なタイミングで戦略を変換することで、スタートアップが成功して続けるためにはピボットは欠かせないとも言えます。
ピボットすることで、リソースをより期待値が大きな事業、戦略に振り向けることができ、ピボットとは、リソース配分の最適化の問題なのです。
スタートアップの経営ではピボットが会社を殺し、ピボットが会社を成功させます。ピボットのうまさは経営者の経営のうまさを表します。

また、今後ここで書くこのピボットという概念は、ソフトウェア等のテックスタートアップを想定しているものです。ソフトウェア以外のオペレーションが多い事業、資金をJカーブ(最初期に投資を行い、後に利益率が劇的に改善し回収する)ではなく積み上げて行く事業ではピボットという概念は当てはまらないことも多いです。

(まとめ)ピボットとはなにか

  • 撤退ではなく、「軌道修正、戦略転換」である
  • 一から全てやり直す大きなピボットだけでなく、カスタマーセグメント、チャネルの変更などの小さなピボットもある
  • 小さなピボットを含めたら、成功企業なら何度もピボットしていきている
  • ピボットとはリソース配分の最適化の問題である
  • ピボットのうまさは経営者の経営のうまさを表す

“粘り強さ(Grit)”はまず何よりも大事
起業家は、そもそもGrit(粘り強さ)が極めて強い人たちで、楽観的できっとうまくいくという強い思いも持っている人種であり、どんな状況でもそうあるべき、だと思います(でないと起業していないし、成功の確率も低いと思います)。

執念、粘り強さ (Grit, Perseverance)は起業家にとって一番と大事と言っていい要件で、僕らの投資先のCEOはスキル、経験、能力、様々な方がいますが、粘り強さ(Grit)こそが投資するCEOに共通する、唯一、絶対の必要条件です。
続きは以下~
https://note.com/kenichiro_hara/n/na714c266b2b9

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