新たなチームやプロジェクトは、関係者が潜在的な問題について早いうちから率直に議論しておかなかったことで台無しになる場合が多い。潜在的な問題についてリーダーが知るタイミングが遅ければ遅いほど、問題を回避できる可能性は下がるはずだ。
多くのリーダーはいつでもざっくばらんに話せる環境があると豪語し、チームのメンバーには厳しい質問をしたり懸念を指摘したりするよう求めてしまう。リーダーらは、そうすれば正直な意見が聞けるだろうと思い込んでいるが、プロジェクトの初期段階ではこうした虚勢に耳を貸さない人が多い。
悪影響を被ることなくチームメンバーが懸念を指摘したり厳しい質問をしたりできるという心理的な安心感は、チームが成熟し、真の団結や信頼が育つにつれ生まれるものだ。
実際、潜在的なリスクや落とし穴をなるべく早く見つけることが多くのプロジェクトや取り組み、チームの成功の大部分を左右する場合が多い。こうすることで、リーダーやチームはこうしたリスクを緩和したり、異なる選択をしたり、さらには方向性を完全に転換したりする機会が持てる。
新たなチームに非常に率直に意見を述べてもらい、問題が早期から明らかになるようにする魔法のようなコツは存在しないが、非常に高い効果を持つテクニックはある。
リーダーは、プロジェクトのキックオフやチームのオリエンテーション会議で、ある強力だがシンプルな質問をしなければならない。これは「私たちが成功を収める上で、最も大きな懸念は何ですか?」という問いだ。
ここでは、そのやり方の一例を紹介する。プロジェクトのキックオフ会議やチームのオリエンテーション会議が終了し解散する時間になったら、自分が気づいていないリスクが存在する可能性があると認めよう。チームのメンバーは指摘しづらく感じているが、それでもチームの視点に入れておくべき重要なリスクだ。
チームが実際に同じ場にいるときは、各自に索引カードと黒のマーカーを手渡し、質問に対する答えを索引カードに書いて、その場を去る際にドアの外のバスケットに入れるよう頼もう。バーチャル会議の場合は、アンケートツールを使うか会議直後にオンラインで匿名調査を送付することを考えること。
答えを受け取ったら、その後の会議ではフィードバックをもらったことに感謝し、必要に応じて一つずつ問題に答えよう。(社員に関する問題や特定の個人に関するマイナスなコメントなど、慎重に扱うべき問題にはもちろん公の場で答えないこと)
このテクニックにはいくつか重要なメリットがある。まず、情報共有のプロセスが加速し、リーダーは通常よりはるかに早いタイミングで潜在的な問題について知ることができる。これによりリーダーは問題を回避するか正面から対処できる。
成功に対する障壁となりそうなものを特定し議論するプロセスは、チームの絆を構築する役にも立つ。この方法を採用すれば、何人ものメンバーが個人的に異なるリスクについて心配する代わり、全てを明らかにして一緒にリスクに対処することが可能になる。
リーダーやチームメンバーが問題や懸念について自分一人で心配するのをやめ、これは誰もが知る問題で公に対処されていることに気付くことで大きな心理的メリットが生まれる。
最後に、グループは正直なフィードバックが評価されるということを明確に理解できるため、こうした行動はチーム内に率直な文化を育てる確かな土台となる。
状況が悪化したらすぐに警告を受けるだろうと間違って思い込んでいるリーダーがあまりに多いが、こうした甘い考えはすぐに大きな問題に発展するだけでなく、ゆくゆくはチームの士気を下げてしまいかねない。
問題について報告されるまでは全てうまくいっていると思い込まず、その逆の手法を用いよう。問題やリスク、障壁があることを前提とし、チームがそのことについて議論できるような環境を作ること。そうすればきっとうまく行くはずだ。
https://forbesjapan.com/articles/detail/51149?internal=top_firstview_09