最近よく聞く言葉に「DX化」があります。
この記事を読んでいる方の中にも、一度は耳にしたことがあるという方がいるのではないでしょうか。DX化は経済産業省が推進していることもあり、多くの企業が積極的に取り組んでいます。
しかし、企業の中にはDX化の意味を正しく理解せずに進めてしまい、思ったように推進できていないのが現状です。そこで今回は、DX化の意味と推進を成功させるために必要なポイントを解説します。
DX化とIT化の違いとは?
DX化を考えるときには、似たような意味である「IT化」についても理解が必要です。
ここでは、DX化とIT化についてそれぞれ解説します。
DX化は「変革」を意味する
DX化とは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、さまざまなデジタル技術やツールを活用して我々の生活を豊かにしていくことです。企業においては、DX化によってビジネスモデルの変革や企業の優位性向上といったさまざまなメリットにつながります。
DX化ではただ単にデジタル技術やツールを導入するのではなく、その先にある企業の変革までを実現するのが重要です。さらに、システムの導入を担当する企業の情報システム部門だけではなく、経営層や各部門を巻き込んだ全社的な取り組みが求められます。
IT化は業務効率化を意味する
IT化とは「Information Technology(インフォメーションテクノロジー)」の略で、システムやツールの導入で業務効率化を実現することです。
例えば、毎朝株価情報を見てエクセルへ転記する作業をしているとします。この作業は、同じ時間に同じ情報をエクセルに転記しているため、RPA(Robotic Process Automation)による自動化が可能です。RPAはどのページから情報を取得するのか、どのエクセルのどのセルに情報を記載するのか、いつ実行するのかを設定することで自動化を実現できます。
IT化は業務単位での効率化を実現しているため、IT化を実現することでDX化の達成に近づきます。
DX化をすべき3つの理由
DX化をすべき理由には、主に以下の3つがあります。
「2025年の崖」の解決に向けて
人手不足に対応するため
企業の優位性を保つため
理由1:「2025年の崖」の解決に向けて
「2025年の崖」とは、企業で古くから運用されているレガシーシステムが残り続けることにより、2025年までに最大で12兆円の経済損失が発生するとした問題です。
企業で運用しているレガシーシステムは、運用期間が長いほどブラックボックス化が進んでいきメンテナンスが難しくなります。ブラックボックス化が進むことでシステムを理解している人間しか保守運用ができなくなってしまい、その人間の不在時に障害が発生すると業務へ大きな影響を与えてしまうでしょう。
したがって、DX化の推進と同時にレガシーシステムの刷新が求められているのです。
理由2:人手不足に対応するため
近年は、業種問わず多くの業界で人手不足が深刻化しています。さらに、働き方改革によって長時間労働が難しい世の中となってきたため、労働力の確保だけでは業務を回せなくなっているのです。
そこで重要になるのが、人手不足でも業務を回せるように業務効率化へつながるシステムやツールの導入です。DX化ではシステムの導入と同時に業務フローの改革も実現する必要があるため、今までの業務を見直していくことで労働時間の削減にもつながります。
理由3:企業の優位性を保つため
最近はインターネットやSNSの普及により、新規で参入する企業が増えています。こうした企業の参入により、ユーザーはさまざまな企業の中から自身のニーズに合った企業を選定できる時代となってきたのです。
ユーザーに選ばれる企業になるためには、最新の技術を活用したマーケティングやサービス発信が大切になります。効率的に活用することで、企業としての優位性も高まって他企業との差別化につながるでしょう。
DX化を成功させるために必要な5つのポイント
DX化を成功させるためには、主に以下5つのポイントが重要です。
目的の明確化
経営層のDXに対する理解
現場への共有
DX人材の確保
レガシーシステムの脱却
ポイント1:目的の明確化
まずは、DX化に取り組む目的を明確にするのが大切です。
何かはじめるときには、必ず目的を決めてから動き出す必要があります。もし、目的を明確化せずに進めてしまうと、途中からDXの導入自体が目的に変わってしまい、思っていたような効果が得られない可能性があります。
目的としては、今までにないビジネスモデルの実現、企業内部の組織改革、企業としての優位性を高めるなど企業方針をベースに考えていくのが良いでしょう。
ポイント2:経営層のDXに対する理解
DX化を推進するうえで重要になるのが、企業のトップとなる経営層がDXを正しく理解することです。
経営層は企業の方針に係る最終決定権を持っているため、正しい判断が求められます。しかし、DXを正しく理解していないと、判断を求められたときに間違った判断をしてしまい企業にとってマイナスとなってしまう可能性があるのです。
そのため、経営層はDXがどのようなものなのかを把握し、DX化が自社に与える影響を考えながら推進していく必要があります。
ポイント3:現場への共有
DX化は専門組織だけではなく、全社的に進めていかなければなりません。もし、現場を巻き込まずに進めてしまうと、新たなシステムを導入したとしても業務で利用する要件を満たせておらず、使われないシステムとなってしまう危険性が考えられます。
したがって、DX化を進めるときには経営層からトップダウンで現場へ考えを共有し、積極的にコミュニケーションを図っていくのが大切です。
ポイント4:DX人材の確保
DX人材とは、AIや人工知能に関する知識やデジタル技術に関する知識を有した人材のことです。そのほかにも、DX化を先導して進めていく立場となるため、プロジェクトを推進できるスキルも求められます。
しかしIT人材が不足しているため、多くの企業ではDX人材の確保が難しいでしょう。そのため外部から新たに採用したり、企業内から適切な人材を選出して育成したりする必要があります。
ポイント5:レガシーシステムの脱却
前述したとおりレガシーシステムは、2025年の崖を引き起こす要因になってしまうため、DX化とともに新たなシステムに置き換えていかなければなりません。
しかし、運用期間が長いと独自のロジックが組み込まれていき、プログラム内部が見えないブラックボックス化が進んでいるでしょう。その場合は、一から業務プロセスの把握をしていき、新たなシステム構築をする必要性が出てきます。このとき、今まで通りの業務ができるのを前提としてシステムを構築するのではなく、今の業務に合った仕組みにするのが重要です。
その結果、今までの業務で課題とされていた部分の改善につながり、業務効率化につながる可能性が考えられます。
まとめ
DX化は、デジタル技術を活用したシステムやツールの導入によって、企業の優位性を保ったり、ビジネス変革を実現していくことです。また、レガシーシステムの残存によって生じる2025年の崖を乗り越えるためにも必要な取り組みです。
これからDX化を推進していく企業は、今回の記事で紹介したポイントを意識していきましょう。
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