福井県は2022年夏、へき地診療所の医療提供体制を強化するため、オンライン診療の実証に乗り出す。市町が開設している県内4カ所で行い、患者が自宅にいながら予約や診療、薬の処方、配送を一貫してオンラインで受けられる仕組みを構築し、有効性を確認する。
対象のへき地診療所は、常勤医師がいる和泉(大野市)、河野(南越前町)、名田庄(おおい町)と、常勤医師がいない丹生(美浜町)の計4カ所。
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定期的な診療や薬の処方が必要な生活習慣病患者らを想定。患者のスマートフォンやタブレット端末に専用アプリをダウンロードしてもらい、カメラ機能などを使って問診や診察を行う。会計はクレジットカードなどの電子決済や、来院時にまとめて現金で支払う方法を検討している。
さらに薬局や訪問看護事業者との連携を構築する。処方箋をデータで受け取った薬局は、オンラインで患者に服薬指導し、自宅に薬を配送。診療所と提携している訪問看護事業者にはタブレット端末を配布し、診療所の医師からオンラインで指示を受けて必要な処置を施す。
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また、診療所の医師が対応できない疾患を想定し、県立病院など「へき地医療拠点病院」の専門医によるオンライン診療を受けられる仕組みも試行する。
実証事業は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進プログラムの一環。本年度当初予算にシステム導入費など約580万円を計上した。県地域医療課は「どれくらいのニーズがあるか把握し、課題を洗いだしたい」としている。
へき地診療所 都道府県や市町村、医療機関などが開設し、おおむね半径4キロの区域内に他の医療機関がなく、公共交通機関を利用した場合、最寄りの医療機関まで30分以上を要する診療所。福井県内には計10カ所(嶺北3、嶺南7)あり、内科を中心とした初期医療を行っている。県は、市町の要請に基づいて医師派遣や医療機器整備などを支援する。
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1528787