ベンチャーキャピタル(VC)の投資が今年減少し、この20年余りで最大の落ち込みとなりそうだ。金利上昇やマクロ経済の先行き不透明感、上場株の低迷が響き、ドットコムバブルの崩壊や金融危機時を上回るマイナスとなる方向だ。
調査会社プレキンによると、VCの新規取引額はグローバルベースで1-11月に前年同期比42%減の2860億ドル(約39兆1400億円)。記録上最大の落ち込みで、2000年代初頭だけでなく、2008年金融危機後の34%減よりも大きくなっている。
Dulled VC Appetites
2022’s drop in VC investing is larger than even after the dot-com bubblehttps://www.bloomberg.com/toaster/v2/charts/cb869e7d857e4beab21862de28fdc1bb.html?brand=cojp&webTheme=default&web=true&hideTitles=true
Source: Preqin global aggregate VC deal value year-on-year change
VCはこの10年にわたり投資を拡大してきたが、金利上昇で資本コストが高くなり、テクノロジー業界における成長最優先の考え方にも疑義が生じている。二大ベンチャー市場の年初来の取引が大きく減少しており、中国は総額で50%減少、米国が45%減っている。
初期段階のスタートアップ企業を対象に世界的に投資する米シックスサーティー・ベンチャーズのプリンシパル、エバン・ソープ氏は「潮目が変わりつつある」と指摘。「昨年のピークから大幅な落ち込みになっている」と語る。
出資先のスタートアップ企業で目立った問題が生じ、後退気味となっている主要な資金の出し手もある。セコイア・キャピタルは今年、6億ドル規模の新たなファンドで暗号資産(仮想通貨)への投資を積極化したが、交換業者FTXの破綻でこうした取り組みが裏目に出た。
ソフトバンク、FTX出資で約1億ドルの評価損の可能性-関係者
世界的に代替投資を手掛けるLGTキャピタル・パートナーズのプリンシパル、ヤン・グオ氏は「買い手と売り手の間に価格面で隔たりがある」と最近のパネル討論会で指摘した。
「多くの未公開企業は2021年のバリュエーションでなお保有されているが、比較可能な上場企業は今年大きく調整を余儀なくされている。この結果、買い手側はより大きなディスカウントを求めるが、こうした現実を受け止める用意ができていない売り手は多い」と同氏は述べた。
原題:Venture Capital Deals Set for Worst Drop in Over Two Decades(抜粋)
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