小田急、モノづくり展にAR導入
百貨店でデジタル技術を活用した新たな試みが広がっている。小田急百貨店が拡張現実(AR)技術を用いた次世代型の展示会を開催。大丸松坂屋百貨店は販売を主目的としないショールーム型の「売らない店」での人工知能(AI)を活用した顔認証によるデータ分析に着手した。他社との協業により先進技術を取り入れ、顧客接点の創出、顧客動向に基づく店づくりに注力している。
小田急百貨店が新宿店(東京都新宿区)で20日まで開催している伝統工芸品のモノづくり展。同社初の取り組みとしてAR技術を取り入れた。
特設会場に九州各県の郷土玩具を展示。一見すると壁際に玩具が置かれただけの空間は、ARグラスを装着すると一変する。グラス越しの視野にはアニメーション化された玩具がAR空間内で動きだし、ナレーションを通じてその玩具の歴史や特徴などを伝える。
従来、催事場で行う物産展などは販売が主目的で「出展製品の魅力や背景にあるストーリーを十分に伝え切れていない課題があった」(経営企画部の石川真統括マネジャー)。ARの活用で商品の持つストーリーを訴求することで、展示物に対する魅力を引き出し、関心を持つ層のすそ野を広げるのが狙いだ。
今回のAR導入では、NTTデータNJK(東京都中央区)、CinemaLeap(同品川区)、小田急電鉄が協力。今後も協業を通じて、感性に訴える新たな顧客体験の創出を目指す考えだ。

大丸松坂屋、AI顔認証でデータ分析
大丸松坂屋百貨店は2021年10月、大丸東京店(東京都千代田区)内に「明日見世(あすみせ)」を開設。出店製品の変更と同時に、NTTドコモと共同でAI顔認証の実証実験を今月始めた。約100平方メートルの売り場に20台のカメラを設置し、来店者の属性推定に加え、接客時の表情を分析する。
「明日見世」では、出店者に情報をフィードバックする。出店者はその情報をマーケティングや商品開発に役立てる。今回の実証を通じて、より精度の高い情報を提供できるようになる。さらに利点として、DX推進部デジタル事業開発担当の広沢健太氏は「何回来られたか、リピーターを分析できるのが大きい」と強調する。
リピーター分析を含む検証を踏まえ、「顧客の囲い込み、固定客化」(広沢氏)につながる施策を展開する構えだ。
コロナ禍による苦境で事業モデルの変革を迫られる百貨店。既存の取り組みにデジタル技術を注入し、活性化を図る試みが今後も広がっていくだろう。
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