関東経済産業局は、管内の中堅・中小企業と、創業初期のベンチャー企業「スタートアップ」との連携を支援する事業を立ち上げた。今月から5組のプロジェクトが始動。中堅・中小企業が長年培ったものづくりの技術やノウハウと、スタートアップのアイデアとを結び付けることで、新たな事業の創出を促す。精密機器部品開発製造のヨシダ(水戸市)とロボット開発のメルティンMMI(東京都中央区)は、原子炉の廃炉作業を分身ロボを使って遠隔で行う技術の開発に取り組む。ヨシダは、放射性物質の隔離と遮蔽ができる「グローブボックス」と呼ばれる装置を長年手掛けている。放射性物質の分析作業はこのグローブボックスを使って人の手で行っている。この作業に分身ロボを導入して遠隔でできるようにすることで、作業の安全性の向上を目指す。東京大学発ベンチャーのネイチャーアーキテクツ(東京都港区)は、自動車向け板金加工の浅野(群馬県伊勢崎市)の技術を組み合わせ、金属に弾性や変形などの機能を持たせた新製品の開発を共同で進める。名古屋大学発素材開発ベンチャーのU-MAP(名古屋市千種区)は、独自開発した繊維状窒化アルミニウム単結晶「サーマルナイト」の量産技術の確立を、特殊ガラス開発の岡本硝子とともに目指す。攪拌(かくはん)装置大手の佐竹化学機械工業(埼玉県戸田市)と環境ベンチャーのサステイナブルエネルギー開発(仙台市青葉区)は、ごみから人工石炭を作る装置を共同開発する。福祉用具レンタルのヤマシタ(静岡県島田市)と千葉工業大学発ベンチャーのaba(アバ、千葉県船橋市)は、同社開発の排泄(はいせつ)センサーを使った介護用品の共同開発を進める。スタートアップにとっては、製品の試作、実証実験がスピードアップできるため、自社単独での開発よりも早期に実用化の判断ができる。一方、中堅・中小企業にとっても、新規の市場開拓につなげられるといったメリットがある。首都圏の中堅・中小企業では、菊池製作所や浜野製作所(東京都墨田区)が、ベンチャー企業の求めに応じて、開発中の技術や製品の量産試作を手掛けている。
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